本間 文江


陶芸(藤沢焼)


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手あぶり猫

 
 
 「手あぶり猫」
本間文江のエッセイ


河北新報夕刊の文化欄「微風 旋風」に連載   からの抜粋

2008429日)


窯を焚く

  父の下で焼き物の仕事を始めて以来、私は「猫の手焙り」を作っている。私の家族はそろって猫好きで、猫は身近な動物だった。

 ボンという名の猫を飼っていたことがある。オスの日本猫で、家族で黒一点の父と気が合い、  一人と一匹はよく一緒にいた。ボンの昼寝の場所は父の工房だった。父の傍らで、ろくろをひく音を子守唄にし、長くなっていた。

  不思議な猫だった。私の粘土遊びの記憶は、オス猫の思い出と重なる。私はボンが大好きで、猫ばかり作っていた。

 父と同じ仕事をしようと決めてからここに戻ってくるまでは、ずいぶん遠回りをした。
そんな折、出会ったのが猫の手焙りだった。江戸時代後期に作られた陶器の猫は、首をすくめ背中を丸くして座っていた。

  こうして手焙り猫を作り始めた。私の中では、今でもボンがポーズをとっている。手焙り猫との出会いは、古い友との再会であり、風船の紐をそこに結ぶことができたのだ。
profile
1974
     岩手県藤沢町生まれ


1999
     国学院大学文学部卒業


2001
     ドイツ・フライブルク市の語学学校に通いながらレンツキルヒ在住の
     陶芸家フォルカー・エルヴァンガー氏に学ぶ。

2005
      1
月帰国、藤沢町父(陶芸家本間伸一)の元で陶器を作り始める。
     
東北工業大学一番町ロビーにて本間伸一・文江親子二人陶芸展

2006
     杜の未来舎ぎゃらりぃにて個展

       ギャラリー土夢にて本間伸一・文江親子二人陶芸展
     東北工業大学一番町ロビーにて本間伸一・文江親子二人陶芸展

2008
     せんだいメディアテークにて「本間伸一・文江陶展」
作品展のご案内  準備中
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