私の原風景は、小さい頃砂浜で遊んでいた時に見た
波に洗われ、風化した貝殻の白い色です。
その貝の白は夕日に映えて、とても美しく輝いていました。
太陽の光のように、私に多くの意味を示唆しているように
私は「白」という色の持つ力を表現し、多くの人と共感した
いと思い、 辿り着いたのが「胡粉」の白でした。
胡粉は貝を風化させ粉末にした日本古来から使われている
白の顔料です。
|
それを素焼きした土に、膠を使って幾度となく塗り重ねていきます。
能面や御所人形の製法と同じです。
その肌は柔らかく光を受け、独特な光を発します。
白い作品を作り続けてきて思うことは、私にとって白とは
「最も光と仲の良い色」であるということです。
そして自然界の白は手に入れがたく、移ろいやすいものが多いのにも
気付きました。
(本田恵美さん「伝えたいこと」から抜粋 ギャラリー散歩道) |